映画製作の為の共同生活
私は19才以降は実家を出てずっと都内で暮らしてきました。
なので両親と同居していた期間というのは18年間で、しかもそのうち0~5歳位まではまだ物心もつかないので『同居』と呼べる期間は実質13年くらいしかありません。
それとは対照的に映画制作活動を共にしたメンバー(丸島・高村・槇など)とは10年以上、中でも「楓牙」を共同制作した丸島にいたってはほぼ19年もの間、一つ屋根の下で一緒に暮らしてきました。(ちなみに丸島と一緒にくっついてきた猫ちゃん2匹♥♥も18年間同居しました)
それも最近のシェアハウスのように各人用の部屋が個別にあるタイプの家ではなく、「シェアルーム」つまりたった1つの部屋に3人とか4人が暮らすほぼノープライベート空間の中での共同生活です。
これは活字にするとサラッと簡単に書けてしまいますが、恐らく読んでる皆さんの想像をはるかに上を行く大変厳しいことです。

「家庭内の生活」は外部から見えないので人が思う以上にそれぞれ違う
元々は全く違う家庭の中で暮らしてきた赤の他人同士が共同生活すると、今まで常識と思っていた事が全く通じず、下手すると聖域と考えていた領域に他人が平気で土足で侵入してきますし、逆に私もたぶん他のメンバーに知らずと色々踏み込み倒しまくったことと思います。
生活文化って想像以上にそれぞれ違うので、とんでもない信じられないような異文化を発見して新鮮で楽しい時もありますが、生理的に受け付けないような事があると本当にしんどいです。
結婚すると夫婦も同様だと思うのですが、ハグして気持ち良い男女の関係と、むさくるしい男同士とでは生活中に許せるお互いの身体の距離感が全く違います(笑)。さすがに6畳間に男3人以上はキツい!(このあたりのエピソードはまた後日書きますね)
この生活の間、家賃やら生活費やらのお金に関する事、あるいは生活態度・恋愛・将来の生活設計等・・・大小含めて様々な問題が起こりつつも、まあどうにか解決したりしなかったりのまま、「面白い映画を創る!」という夢を共有する事実だけで寄り添い続けた約18年間でした。
長く生活をともにした時間だけが作る感情:
長い共同生活をしてみてハッキリとわかった事の1つが、人には共同生活に向くタイプと全くそうでないタイプの二種類に大きくわかれるという事です。もちろん上述のメンバー達は皆ができる側の人間ですが、途中、明らかにそういう事ができない性格?あるいは生活文化を持つ?人というのもいて、初期の頃には途中で同居を解消して出て行く人がいたりしました。
一応ことわっておくと、そういう人達を嫌いだったかというと全然そういうわけではなく、むしろ物凄く素敵な性格で尊敬すらできる大好きな人だったりしたのですが、不思議なもので共同生活というのは単純に好き・嫌いだけでは難しいものなのです。この辺は結婚と少し似ているのかもしれませんね。
(※映画製作に関しては同居しないで一緒に活動すれば良いだけの話なので特に問題があるわけではありません。同居した方がいつでも打ち合わせもできるし家賃も浮くので時間的・経済的効率が良いというメリットがあるだけです。)

好き・嫌いで言えば、むしろ同居していたメンバー達に対して、大親友のような「大好きな人達!」と公言できるとか、尊敬の念を覚える尊い人達とかの感覚は全く無く、なんなら人間的には軽蔑するような部分や「ダメな奴だな」と思う部分もあったりします。
もちろん嫌いだったら一緒に共同生活して映画制作活動など出来ないですから好きな人達ではあるんですが、感情的な部分でいうと『好き』『嫌い』というより非常にフラットというか、ほぼ『無』に近い感覚で空気の様な存在に感じています。
そのあたりは肉親に近い感覚でしょうか。何十年も一緒に暮らしていると、日常ではお互いが空気のような存在となり得ますがそれに限りなく近いと思います。
両親は自分で選ぶことは出来ませんが、同じ様にこれまで共に過ごした十数年間というのは、もうどうやっても自分の人生の歴史からは切り離せないですし、夢を共に追ってそれこそ朝から晩まで空間的にも精神的にも共に過ごしてきた人達はある意味で肉親以上の存在です。
家族との絆(私は割と若いうちに両親ともに失くしてますが兄・姉がいます)は何にも代えがたく大事だし、私は兄も姉も仲良く大好きで尊敬もしていますが、そうではあっても実の家族よりも長く濃く一緒に生活してきた仲間達は、私にとっては家族以上に濃い『縁』を感じる人達なのです。
それは血よりも濃くて深いものです。
これはあくまで私から彼らへの正直な感情であって、もしかして彼らは私に対して何の感情も想いも無いかもしれないですし、ヘタすると大嫌いで顔も見たくない奴なのかもしれないのですが、それは正直私にとってはどうでも良いというか関係なくて、彼らがどう思っていようがもうこの感覚は一生変えられない、変わらないものにまで積み上がり切っているのです。
仮に彼らの誰かが私を殺したいほど嫌いで刃物を持って襲ってきたとしても「ああ、そうだったのか…」などと思いながらただ死んでいくだろうと思います。
そんな事は起きないことを願いますけれどね。
0002-「血より濃きもの」:終


