今回もライフガードをしていた時の話の続きです。
0009の投稿に書いた通り私は他のライフガード達がいる大きな浜から少し離れた場所にある小さなプライベートビーチみたいな場所で2人きりで仕事をしている事が多かったのですが、そこの浜は幅30m位しか無くて海の家も2店だけしかありませんでした。
そして同じく前述した通り、その近くには噂ではある大きな暴●団の大親分の大邸宅が存在し、その小さなビーチにある2軒の海の家の片方はその大親分の組が直轄しているお店だという事でした。
そうは言ってもライフガードの会社の社長は
「地元の堅気には手を出さないから安心して大丈夫」
とか(震えた声で)言っていたし(その割にこの浜を避けて絶対に来なかったけど)、直接何か起こることはないだろうと高を括っていたのですが…。
人間がアリを踏んでも気付かないのと同じ…なのか?
世間的に「お盆休み」に入った頃の事です。
どうやら大親分の邸宅に幹部級の人々がお盆で集まっていたらしく(そういう人々に「お盆休み」とか「出勤日」とかいう概念があるのかは謎ですけど…)、その方達がいきなり大挙してその小さな浜へ押し寄せてきました!
総勢40~50人位。
全員が手から足まで、それはそれは見事な全身入れ墨姿で、水着もパンツルックではなくほとんどの方が白いふんどしをしていらっしゃいました。
テレビドラマや映画・漫画に出てくるイメージそのままの「これぞヤ●ザ!!」って方々です(笑)。
元々が海水浴客の少ない静かなビーチでしたが、わずかに居た家族連れのお客達は彼らの登場であっという間に当然どこかへ避難していなくなってしまいました。
幅30メートルたらずの小さなビーチを埋め尽くす勢いの「全身入れ墨の人々」の他は、浜の中央の監視塔に取り残された若いライフガードの僕ら2人だけです。
でもライフガードは仕事なので他の家族客たちと一緒に浜から逃げ出すわけにはいきません。

どうも見ていると
「たまに皆で集まったんだしちょっと海でも行って遊ばね?」
的な軽いノリで出てきた感じで、ビーチで酒のみながらキャッキャッと楽しそうにはしゃいでいて、僕らライフガード2人は全く存在すらしていないかの如くシカトで話しかけられる事すらありませんでした。
なので特にこちらに被害があったわけでもないのですが、正直言ってこの状況はさすがに怖かった!

なんかあったらまぁきっとタダじゃ済まねーだろーなー
こんな時は放置されるのが最高に嬉しい事ではあるのですが1つだけ非常に気になる事がありました。
ほとんどの方々は浜辺で酒を飲んではしゃいでるだけで全然海に入って泳いだりしてなかったのに、一人だけ急に波打ち際より奥まで行って遊びだしたのです。
ただでさえ引き潮で持って行かれる可能性があって危険なのに、しこたま酒飲んで酔っ払ってるので普通ならうるさい位にピーピー笛を吹いて注意するべき状況です。
でもせっかく機嫌よく楽しんでいらっしゃるところを上から笛鳴らして邪魔するような勇気など若いころの私にはとてもありませんでした。
ただ「こういう連中というのは勝手に自爆して死んでしまったとしても後々こちらに責任やら因縁をつけてくるものだ」というイメージがあったので、そいつ・・・いや、その方が流されて溺れてしまわないか心配で、ずっとソワソワしながら必死に彼を見守り続けていました。
とにかく早く時間が過ぎて今日一日が無事に終わります様に!と神様に祈るばかりです。
僕らの大好きなあのヒーロー登場!
そんな風に監視塔の中で入れ墨軍団に囲まれながらソワソワ・ビクビクと小さくなって1時間ほど過ごした頃です。
浜辺の遠くの方からキラキラと輝きを放ちながら色黒の男が運転する乗り物が爆走してやってきました。
0010の投稿で書いた『四輪バギーで毎日現れるナンパ親父』です!!!

こいつは毎日ベンツのオープンカーで海へ来ては浜辺を四輪バギーで爆走してギャルをナンパしている、日に焼けた小太りで金のネックレスとブレスレットを着けているというイラッと来るオッサンでした。
もうわがビーチに濃いキャラが次々に大集合してくる感じです。(笑)
バギー親父は当然何も知らずにギャルを求めて颯爽と来たつもりでしょうが、そんな金のネックレスでキラキラした黒いオッサンがバギーで派手に登場してきて、我らが浜のもんもん軍団が黙って素通りさせるワケがありません!
あっという間に取り囲まれてしまいました。
「おお、何だよソレ?面白そうじゃん!ちょっと乗せてくれよ!!」
あくまでふざけて遊んでるノリな感じでしたが、この状況ではさすがの図図しいバギー親父も顔面蒼白で車を貸すしかありません。
2人~3人がバギーにまたがってアクセル全開にしては監視塔の足元に激突したりして皆で爆笑していました。
酔っ払って無茶苦茶な運転するもんだから、もちろんバギー親父は涙目で顔は真っ青です。

もんもん軍団達はしばらく走るオモチャではしゃいでいましたが、しばらくして飽きるとバギー親父は解放されて逃げるように爆走して帰っていきました。
そして夕方になる前には皆様一斉にお帰りになり、浜は急にいつもの静かな平穏なビーチに戻りました。
途中、一瞬だけ楽しいイベントが起きましたが(笑)、正直言って物凄く恐怖の一日でもありました。
このライフガードシリーズのサブタイトルは
「死の目前の話」
となっていますが、この日に関しては”死の目前”というよりは
「生きた心地すらしなかった日」
の方が正しいですね。
次回、ようやくライフガードシリーズの最後ですが、更に更にこの夏は「死」の影が僕につきまといます。
0011-ライフガード(死の目前の話3)「恐怖!大もんもん祭り!!」:終
(Part4へ続く)

